家の水槽に砂利を敷きたいけれども、種類が沢山あってどれを選ぶべきか悩んでしまう…。このように困っている方も多いのではないでしょうか。水槽のレイアウトや魚が過ごしやすい環境作りのためにも、水槽によい砂利を敷きたいと考えるのは当然ですよね。
そこで今回は、悩みがちな水槽の砂利の選び方についてご紹介します。是非参考にしてみてください。
目次
水槽に敷く砂利「底砂利」は多種多様です
水槽に敷く砂利は「底砂利」と呼ばれます。底砂利には様々な種類があるため、それぞれの特徴と共にご紹介していきましょう。
ソイル
ソイルは栄養を添加してある土を焼き固めたものです。丸い粒状の形をしているので、細かい泥や砂が水中に舞うことを防ぐことができます。また、水を通しやすい形をしているため、バクテリアや微生物が定着しやすい環境を作ることができます。
ソイルは水草の育成に向いているといわれています。栄養分が豊富に含まれていることや、水中にある栄養分を吸着しやすいことなどが理由として考えられるでしょう。
ソイルは水質を弱酸性に保つ性質を持っています。そのためアマゾンに生息する水中生物を育てやすいのです。
ソイルで気をつけなければならないことは、土を固めたものであるため砂利と違い水洗いなどで再利用することができないことでしょう。長年使用していると形が崩れてしまうため、定期的に交換しなければなりません。
また、導入し始めはソイルの栄養成分が水中に多く溶けだしてしまうおそれがあります。使い始めは水質が安定しないことも考えられるため、使い始めてから2週間ほどは水槽を空回しするようにしましょう。
サンゴ砂
サンゴ砂は、サンゴの死骸を砕いて砂利状にしたものです。そのため多孔質という表面に小さい穴がたくさんあいている特性をもっているため、ろ過バクテリアが棲みやすくなります。ろ過バクテリアのおかげでろ過能力を底上げすることができるため、水槽内をきれいに保つ効果があります。
サンゴ砂は水質を弱アルカリ性に保つ性質を持っているため、弱アルカリ性を好む魚にとっては棲みやすい環境にすることができます。
気をつけなければならないことは、弱アルカリ性を好む魚や水草の数が少ないことです。見た目もオシャレにすることができるためついつい買ってしまう方も多いですが、飼育している魚にとって危険ではないかをしっかり確認してから購入するようにしましょう。
砂利
岩、石などの粒を選別したり、砕いたりすることで底砂利にしたもので、一般的に利用されている底砂利だといえます。砂利を利用することで水槽内の見た目を自然に仕上げる効果があります。
石由来のタイプであることから、水質を弱アルカリ性に傾けがちです。特に使い始めは水中に石のカルシウム成分が溶け出しやすいため水質が弱アルカリ性になりがちです。
ですが、砂利の中には全く水質に影響しないものもあるため、成分を確認してから購入するようにしましょう。
砂利には栄養分が含まれていないため、水草の飼育には向いていません。また、ほとんどの水草が弱酸性の水質を好むため、水質を弱アルカリ性に傾けてしまう砂利は水草の育成に向かないのです。
セラミック
セラミックはソイルよりもより強く焼き固めたものです。そのため崩れてしまう恐れはほとんどなく、丸洗いすることもできます。また多孔質の特性も持つため、ろ過能力の底上げも可能です。
土でできているため、水質を弱酸性に傾けますが、強く焼き固めてあるのでほとんど影響はありません。ただ、ソイルに比べると栄養分が少ないため水草育成に向いているとはいいがたいです。
ですが、セラミックが水質を弱酸性に傾けることや栄養分が含まれていることを考えると、砂利よりは水草の育成に向いているといえます。
カラーリングしてあるものも多いため、水槽のデザイン性を上げることができるでしょう。
溶岩砂
溶岩を砕いた砂でできた底砂利です。溶岩岩も多孔質の特性を持つため、水槽内のろ過能力の底上げが可能です。また、ソイルに比べて長持ちします。
注意しなければならないのは砂利に比べるともろい点でしょう。掃除で洗っていくうちに削れてしまいます。時期をみて交換する必要があります。
また溶岩砂は溶岩を素材として使用しているため、砂利に比べると粒が角ばっています。ドジョウなど底物の体を傷つけてしまう可能性があるため、底物の飼育にはおすすめできません。
溶岩砂は砂利や土に比べると独特の色合いをもっているため、他の水槽と少し違ったレイアウトにすることができます。
以上が水槽の底砂利としてよく使用されるものです。自分のイメージする水槽に合う底砂利を選びましょう。
底砂利を敷くことで得られるメリットとデメリットを解説
底砂利の種類について知ることはできたけれども、そもそも水槽に底砂利を敷くメリットは何なの?と感じている方もいるでしょう。それでは底砂利を敷くことで得られるメリットと、デメリットについてお話します。
底砂利を敷くメリット
底砂利を敷くことによってたくさんのメリットを得ることができます。
底砂利は水槽内の水質維持に役立ちます。底砂利が持つ物質が水中に溶けることにより、水質を変化させることがあるのです。水質を維持させることは飼育する魚が生活しやすい環境にするために、とても大切なのです。
底砂利はろ過バクテリアの繁殖にも役立ちます。水槽内に発生する有害物質のアンモニアや亜硝酸を分解するために、ろ過はとても重要です。ろ過バクテリアが繁殖すると水槽内のろ過能力を底上げすることができるのです。特に多孔質の特性を持つ底砂利はろ過バクテリアの繁殖を助けます。
その他にも川や池の内部を再現することができるため、魚がストレスを受けにくい水槽にすることができるメリットがあります。過ごしやすい環境を作ってあげると、魚の生態観察にも役立つためおすすめです。
底砂利を凝ると、水槽のインテリア性も向上させることができるのです。底砂利を敷いていない水槽はどこか物足りなさを感じます。底砂利を敷くことでデザイン性を上げることができるだけではなく、レイアウトの可能性も広がります。
底砂を敷くデメリット
底砂利をひくことにはデメリットもあります。
底砂利をひくと汚れが貯まりやすくなってしまいます。砂利の隙間に汚れがたまってしまうため、水換えをしても汚れが取り切れなくなってしまうのです。餌をやる時は汚れの発生を抑えるために調整することが必要です。
汚れが残らないように掃除も念入りに行いましょう。底砂利の掃除専用の道具もあるため利用するとよいです。
底砂利のメリットとして水質の維持を挙げましたが、じつはこれにもデメリットがあるのです。底砂利の成分が水中に溶けすぎてしまうと魚や水草が育ちにくくなってしまいます。
特に岩砂利は、成分が解けることにより水質を弱アルカリ性にしてしまいますが、これは水草の育成にはよくありません。
この場合、水質を変える原因となるカルシウムイオンをあらかじめ溶かしておく「酸処理」という作業を行うことをおすすめします。また、その他の砂利もあらかじめ水に付け込んでおく「あく抜き」を行うとよいでしょう。
底砂利の選び方!自分の家の水槽と生き物に適したものとは?
それではいよいよ水槽に敷く底砂利を選びましょう。自分の家の水槽や生き物に合う底砂利を選ぶためのポイントをまとめてみました。
まずは水質を考えましょう。飼育する魚の水質に合った砂利を選ぶことが大切です。
次に底砂利の粒の大きさや形をみましょう。あまり細かい物では掃除が大変ですし、底面式フィルターを使用するならば砂利が詰まってしまうおそれもあります。ですが、大きすぎるものも景観を損ねてしまうことが考えられるため、ちょうどよい砂利を選択しましょう。
砂に潜るタイプの魚であれば細かい底砂利の方がよいでしょう。また、底物は体が傷つかない形をした底砂利にしましょう。
水草の育成を考えている方はソイルを選択すべき、といいたいところですが、じつは初心者にソイルはあまりおすすめできません。ソイルは栄養分を多く含むためコケが発生しやすくなっています。
最初からソイルを使うと水槽をコケまみれにしてしまうおそれがあるのです。初心者はまず、砂利でも育てることができる水草からはじめてみましょう。
底砂のメンテナンス!適切に行わないと生き物にダメージを与えます
水槽内に汚れがたまらないように、底砂利を掃除することは大切です。しかし、ピカピカに掃除してしまうと逆に魚に悪影響を及ぼすことも…。そうならないために、水槽の底砂利を正しく洗う方法についてご紹介します。
砂利を洗う
なぜ底砂利をピカピカに掃除してしまうとよくないのでしょうか。それはきれいにしすぎると、せっかく繁殖していたろ過バクテリアまで取り除いてしまうからなのです。ろ過バクテリアが不足すると水をきれいに保つことができなくなり、魚が病気になったり死んでしまったりするのです。
底砂利を洗うときには砂利が掃除できる専用の水換えホースを使用しましょう。水換えホースは底砂利を吸い込まず、その中の汚れのみ吸い出すので安心して掃除することができます。
ホースを使わない場合は、バケツ内に水槽の水を張ってその中に底砂利を入れ、砂利内の汚れを取るように洗いましょう。徹底して洗う必要はありません。このとき、決して水道水は使用しないでください。水道水のカルキや水温の差によってろ過バクテリアが死んでしまうおそれがあるためです。
砂利の交換
砂利を全部新しい物に交換してしまうのも、ろ過バクテリアがいない環境にしてしまうためやめましょう。砂利交換は何回かに分けて行うことをおすすめします。
まとめ
水槽内の底砂利は何でもよいわけではありません。底砂利の種類を知り、それぞれのメリット・デメリットを知ることで自分の水槽に合うものを選ぶことができるでしょう。
底砂利を敷くと汚れがたまりやすくなってしまいます。定期的に掃除してあげることをおすすめしますが、やり方を間違えてしまうと逆に魚や水草にとって害になってしまう恐れがあります。正しいメンテナンスを心がけましょう。